ステンレス鍛造包丁の切れ味
ツヴィリングの包丁はステンレス製ですが、材質によって大きく3種類に分けることができます。
一つはツインフィンの様なスペシャルフォーミュラースチールを使っているもの、ツインセレクトの様なスペシャルフォーミュラースチールを鍛造しさらに強度をアップしたもの、ツインセルマックスの様なMCスチールを使ったものです。
今回は購入して2年ほど経った、スペシャルフォーミュラースチールを鍛造したツインセレクトシリーズのシェフナイフ細身20cmの切れ味についてレポートします。
ただ、残念な事にツインセレクトシリーズはツヴィリングのホームページには掲載されていません。出回っている在庫品も少なくなっているようです。まだアマゾンや楽天市場では入手できるようです。
デザインがすばらしいのでとっても残念です。
2010年11月レポート
切れ味を比較するのは、現在私が主に使っている包丁で、日本鋼の牛刀24cm、ツインセレクトのシェフナイフ細身20cm、V金10号(コバルトダマスカス)の三徳包丁です。
上から正広作日本鋼口金付牛刀24cm、ステンレス鍛造のツインセレクトシェフナイフ細身20cm、紋三郎コバルトダマスカス三徳包丁
いずれの3本の包丁も購入した直後は切れ味は全く問題なく、非常に良く切れます。
私が切れ味の目安にしているトマトやピーマンのスライスなどはとっても薄く切れます。もちろん食材がつぶれることもありませんし、玉ねぎを切っても涙ぐむこともありません。
切れ味の続き具合ですが、長持ちする順番で日本鋼、ステンレス鍛造、コバルトダマスカスという感じです。
本当はきちんとした測定器が必要ですが、家庭では用意できないのであくまで私の感想です。
どの包丁も最初はトマトなどにスッと包丁が入りますが、だんだんトマトの表面の皮が凹むようになり、薄く切れにくくなります。
それでも押し切るのではなく、包丁を前後に動かすと問題なく切れます。
この押し切れにくくなる順番が日本鋼、ステンレス鍛造、コバルトダマスカスです。
多分、材料の硬さによると思います。
一番切れ味の良いのは日本鋼となりますが、これは使ったあとの手入れが面倒です。
鋼ですので、きちんと洗い水気をしっかりと拭き取らないとあっという間にサビが出てきます。一度刃の側面にサビができると、すぐに落とさないとだんだんサビが深いところまで入っていって、落とすのに面倒なことになります。
その点、ステンレス鍛造とコバルトダマスカスの包丁はそこまで気を使う必要もなく、お手入れは簡単です。
包丁はどんなものでもいずれ研がなくてはならなくなりますが、この3本は研ぐ事に関しては特段難しくなく、普通の砥石があれば大丈夫です。
ただし、日本鋼の包丁は簡易シャープナーは使えないので注意が必要です。
研ぎ直したあとの切れ味は、当然ですが新品同様になります。上手に研げれば新品の時より切れるようになるかもしれません。
まとめると、切れ味とその持続性だけでは日本鋼が一番で、使ったあとのお手入れのことも考えるとステンレス鍛造、コバルトダマスカスとなります。
切れ味とその持続性、お手入れを考えるとステンレス鍛造がバランスが良いということになります。
切れ味もよく、お手入れも簡単なステンレス鍛造の包丁はあまり一般的ではなく、ツヴィリングでも最近はスペシャルフォーミュラスチールや、MCスチールに力を入れているようです。
デザインも良く、気に入っている包丁なのでちょっと残念です。